資金計画の立て方から契約、引渡し、さらには確定申告まで、購入時に押さえておきたいポイントをわかりやすくまとめています。
不動産購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
資金計画
不動産は高額な買い物ですので、早い段階で購入に必要となる費用の全体像を把握しておくことが重要です。
■不動産の購入にかかるお金
不動産を購入する際に必要なお金は物件の代金だけではありません。税金や各種の手数料などさまざまな諸費用が必要で、一般的に物件価格の5~8%が諸費用の目安とされます(引越代や新居の家具などは諸費用には含まれません)。
したがって、余裕のある資金計画を立てることが基本です。
■主な諸費用
・印紙代
・登録免許税
・不動産取得税
・固定資産税・都市計画税
・仲介手数料
・住宅ローン事務手数料
・住宅ローン保証料
・団体信用生命保険料
■購入予算を算出する
物件選びから始めるのではなく、まず購入予算を明確にすることが重要です。その予算に基づいて物件を探す方が効率的です。予算を計算するには、毎月の住宅ローン返済額と用意できる自己資金を整理します。購入可能な物件価格は以下の計算式で求められます。
返済可能な住宅ローン額 +(自己資金 - 諸費用)= 購入可能な物件価格
また、分譲マンションの場合は管理費や修繕積立金、駐車場代などの追加費用も考慮することが大切です。これらを見落とさないよう注意しましょう。

物件の情報収集
不動産にはそれぞれ個性があり、一つとして同じものはありません。
一口に物件情報といっても、金額、立地、間取り、周辺環境や利便性など、多数の要素があります。
■物件選びの前に明確にしておく事項
・予算
・住みたいエリア
・建物の種別
■不動産の探し方
今では物件探しといえば、インターネットを利用するのが一般的です。パソコンやスマホで希望条件を入力すれば、豊富な物件情報が手に入ります。ただし、ネット上の情報には売主の詳細は記載されておらず、売主に直接連絡を取ることはできません。
通常、不動産の売却は不動産会社に依頼されるため、ネット上の物件情報には、その物件を仲介する不動産会社が記載されています。
仲介手数料は売買契約が成立してから発生するため、物件探しの相談だけなら費用は一切かかりません。不動産については、専門家である不動産会社に相談するのが、物件購入への近道といえるでしょう。

物件見学
物件見学は無料で行えるので、気になる物件があれば積極的に見学を申し込んでみましょう。ここでは、物件見学の際に押さえておきたいポイントを簡単にご紹介します。
■周辺環境をチェック
物件の周辺環境は、平日と土日、昼と夜、さらには晴れの日と雨の日で大きく印象が変わることがあります。そのため、異なる曜日や時間帯、天候の条件で周辺環境を何度か確認することをお勧めします。こうしたチェックが、より納得できる物件選びにつながります。

不動産売買契約の締結
重要事項の説明を受け、契約条件について買い主・売り主双方が合意したら、売買契約を締結します。
■購入申込み
購入したい物件が見つかっても、すぐに売買契約を結ぶわけではありません。まずは購入の意思を売主に伝えるために、不動産購入申込書(買付申込書とも呼ばれます)を提出するのが一般的です。その後、売買価格や引渡し時期などの条件交渉が始まります。値下げ交渉などは、自分で行うのではなく、不動産会社に任せるのが通常の流れです。
■住宅ローンの事前審査
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、このタイミングで住宅ローンの事前審査を申し込みます。事前審査とは、正式な申請前に、返済能力などを基に簡易的に審査するプロセスです。
契約前にローンが利用可能かどうかを確認するための重要なステップです。
■不動産会社による物件調査
不動産の売買条件が合意に達した後、物件に関する重要な情報を確認するために、物件調査が行われます。具体的には「法務局調査」「役所調査」「現地調査」などが実施されます。
これらの調査結果は、「重要事項説明書」や「物件状況等報告書・設備表」としてまとめられ、契約時に買主に提供されます。
■重要事項説明
宅地建物取引業法により、売買契約を締結する前に、買主に対して取引する不動産に関する重要事項を書面で説明することが義務づけられています。この書面は「重要事項説明書」と呼ばれ、説明は宅地建物取引士(国家資格者)が行います。
重要事項説明書はページ数が多く、専門的な言葉が使われているため、理解しにくいことがあります。分からない点があれば、担当者に質問して確認することが重要です。なお、重要事項説明は売買契約前に行う必要がありますが、通常は重要事項説明と売買契約が同日に実施されます。
■不動産売買契約の締結(手付金支払い)
不動産売買契約書の締結です。
契約書には取引条件が詳細に記載され、売主と買主の双方に交付されます。契約後に契約に反する行為があった場合、高額な違約金が発生することもあるため、不明な点があれば必ず担当者に確認することが大切です。通常、売買契約の締結と同時に手付金が支払われます。
【契約時に必要なもの】
手付金(売買金額の1割程度)、実印、仲介手数料の半金、収入印紙代、本人確認資料(運転免許証など)

住宅ローンの締結
住宅ローンを利用する場合は、不動産売買契約後にローンの申込を行います。
■住宅ローンのお申込みに必要なもの
・住宅ローン申込書
・実印
・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
・住民票
・住民税決定通知書
・収入証明書(または所得証明書)
・不動産売買契約書
・重要事項説明書
・融資の申込書類一式
・印紙代

決済と引渡し
決済日には、売主、買主、司法書士などの関係者が金融機関に集まり、所有権移転登記の手続き、融資の実行、そして売買代金の支払いがまとめて行われます。
①代金の支払い
└買主から売主への残代金の支払いは通常、銀行振込で行われ、決済日にその場で入金が確認されます。
②登記に必要な書類の確認
└売主から買主への所有権移転登記は、司法書士が書類を作成し、法務局に申請します。決済の際には、司法書士が必要な書類が全て揃っていることを確認します。
③鍵と関係書類の受取
└代金の支払いと同時に、買主は売主から物件の鍵や、マンションの場合は管理規約などの関連書類を受け取ります。
④諸費用の清算・支払い
└固定資産税などは、引渡し日を基準に日割りで精算します。マンションの場合は、管理費などの負担金も併せて精算が必要です。また、不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬もこのタイミングで支払います。
⑤取引完了
└取引がすべて完了した際には、その証明として「取引完了確認書」に署名と捺印を行います。
■必要なもの
・残代金(手付金等を抜いた支払い金額)
・仲介手数料の残金
・登記費用(登録免許税)
・司法書士への報酬
・固定資産税・都市計画税、管理費などの清算金
・住民票
・実印
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの、抵当権設定時のみ)
・ご本人確認資料(運転免許証など)

リフォーム・引越し
中古物件の場合には、リフォームが必要となることもあります。決済が完了し、物件の引渡しを受ければリフォーム工事を開始できます。
創業20年以上の地元工務店『ノースホーム企画』と連携することで、不動産購入からリフォームまでワンストップで対応いたします。

確定申告
初年度は必ず確定申告が必要です。
2年目以降は会社員の場合、年末調整で対応できますが、自営業者や年末調整がない場合は毎年申告が必要です。
■住宅ローン控除の条件
・自ら居住するための住宅が対象。新築、中古、増改築やリフォームの場合も条件を満たせば適用されます。
・返済期間が10年以上のローンが対象です。
・制度の適用期限や条件が年ごとに変わる可能性があるため、利用年度の最新情報を確認してください。
■必要書類
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署で入手)
・ローンを借りた金融機関からの「残高証明書」
・登記事項証明書(住宅の登記情報)
・売買契約書または工事請負契約書(住宅購入の契約を証明するもの)
・源泉徴収票(給与所得者の場合)
・マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
■申告期限
確定申告は通常、毎年1月下旬から3月15日までの期間に行います。
ただし、申告が遅れても還付を受けるための申請は5年間可能です。
